主人公「俵藤太」とは
別名:「田原藤太秀郷」 「藤原秀郷」
平安時代の武将。近江の国(ほぼ現在の滋賀県)の出身。
朱雀天皇の時代、琵琶湖に住む龍神の頼みで三上山の大百足を退治した。(あらすじの欄を参照)
俵藤太に関する記述は「遊歴雑記」や御伽草子「俵藤太物語」などに多く見られる。
そのほとんどは、「平将門(タイラノマサカド)」討伐に関する物である。
将門討伐の命を受け、将門討伐に平貞盛との連合軍で攻めるがなかなか勝てない。そこで、俵藤太は将門の傘下に入り将門暗殺の機会を狙うが、将門は七人いてどれが本物なのか分からない。将門の女房の小宰相から、本物を見つける方法を聞きだして将門暗殺に成功した。小宰相は龍神の化身であり、俵藤太は龍神の加護と更に三井寺の本尊である弥勒菩薩の加護を得て、将門討伐の成功を収めることができた。
以上が「俵藤太物語」に見られる将門討伐の概要である。
龍神の化身が俵藤太を助けるというのは、百足退治の恩返しなのであろうか。
「俵藤太物語」では、将門の弱点を俵藤太に伝えた人物は小宰相となっているが、「遊歴雑記」をはじめ広く伝えられている人物は「桔梗前(キキョウノマエ)」になっている。将門の弱点を俵藤太に伝えたという話の流れはかわらないが、桔梗前の伝説ではその後日談として咲かず桔梗といった事が語られる。
桔梗前が俵藤太と通じて将門の弱点を漏らしたために、将門が討たれた。そのため将門の怨念によって桔梗の花が咲かないというものである。
その他にも「俵藤太物語」には、将門が乱を起こした当初、俵藤太が「この人に同心し、日本国を半分づつ、管領せばや」という野心を持って、将門に会いに行くという場面がある。この話は「源平盛衰記」や、「今昔物語」にみられるものである。
また、「尊卑分脈」に拠ると、先祖は藤原鎌足で魚名の流れとされている。また、子孫は奥州藤原氏の祖である藤原経清へと繋がり、奥州藤原氏の繁栄を築くことになる。