俵山のむかで退治
以下、くまもとの民話からの引用です。
俵山のむかで退治
昔んこったい。俵山に、こん山ば2,3回もぐりぐりとりまくごたる、そらー太かむかでのおったてったい。目はぎらぎら鏡んごて光っとって体は黒々と黒びかりしとった。こるが村にとっちゃこまりもんで、あくしゃうっとった。だけん「おい、どぎゃんすっとあんむかでば退治でくっとか」てしょっちゅう話し合いよらした。
そんとき、「私が退治してさしあげまっしょ」てゆう侍の出てこらした。
こん侍は、見たばっかりで強かてわかるごたる人で、得に弓矢が上手だったてったい。
しっかり天気のよか日に、弓矢ばもって山に登らした。そしてむかでの目ん玉のよーみゆる場所ば選んで陣取らした。むかでに気づかれんごてして、そろーっと、ばってんほーいっぴゃ弓ば引き絞ってむかでの目ん玉ばねろうて「ピュ−」て射らした。
矢は飛んでいってピシャリ目ン玉にあたりはしたばってん、ぬからんで跳ね返ってきた。何べんしたっちゃこるが同しこつ。お侍さんも困り果てち、思案にくれとらした。
ちょーどそけとつけもにゃ−うつくしかおなごン人ん、俵山ん登ってこらした。
「すんまっせん、あーたがつばばこん矢尻につけちくんだはい。お願いしますけん」
「はい、おやすいこってござります」てゆうて、2本の矢尻につばばつけちやらした。
お侍さんなすぐ、こん矢ば弓につがえてむかでの面ン玉ばめがけて射らした。
じょーずたいなー、こるがピシャリ命中して、それも2本ともだけんなー。目ン玉にあたった矢は深かーか所まで刺さっていったけん、さすがのむかでもたまったもんじゃなかったい。
じねーんと弱り始めち、とうとううっ死んでしもうた。
村人たちは大喜びたい。心かりお侍さんにお礼ば言わしたてったい。
それから村は、しっかりさかえたちゅうこったい。
うん、そうそういまでんいうどがなー「むかでん出てきたなら、おなごん人ンつばばひっかくっとよか」って。
どうですか?なんかゾクゾクしません?
細かい設定は微妙に違ってますが、話の大筋は同じです。
まあ、そこまでは、ただの類話です。あっても不思議ではありません。
問題は物語の舞台が「俵山」ということです。
私はこれにかなりゾクゾク来ました。
調べれば、もっと面白そうな予感です。